今回は前回に続き、腎臓に良い食生活についてお伝えしたいと思います。
腎臓に良い食事って何だろう?と多くの方が疑問に思うと思いますが、実はあまり難しく考えなくても実践する事が可能です。
簡単に言うと、一般的に健康的と言われるバランスの取れた食事を心がけることが腎臓の為には何より重要なのです!
厚生労働省によると慢性腎臓病(CKD)発症の危険因子は、高齢、腎臓病の家族歴、非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)などの医薬品の常用、感染症、膠原病等とされていますが、慢性腎臓病が起こる原因は未だに不明な事が多いといいます。様々な仮説があり世界中の研究者が追及していますが、近年の医学の進歩を以てしてもはっきりとは解明されていません。例えば慢性腎臓病の原因となるIgA腎症は風邪などの疾病の際の免疫の異常で起こってしまう病気ですが、北欧や北米では比較的少数にも関わらず日本人に大変多く、発病の地域差の原因は不明とされており、その他病気になるのを防ぐことが難しかった不幸なケースも数多くあるのです。
しかし慢性腎臓病は気を付けていれば回避する事が出来る場合もあるのです。
厚生労働省によると上記の他に、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症(痛風)、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病も慢性腎臓病発症の危険因子に挙げられ、これらを有する人に対しては早期から生活習慣の改善や治療が必要としています。
よって生活習慣病を防ぐことが慢性腎臓病になるリスクを低下させ、腎機能を守ることとなるのですが、生活習慣病を引き起こす要因として塩分、糖質、身体に悪い脂質、アルコールの摂りすぎが関係しているという事が分かっています。
逆に野菜や魚油(DHA・EPA)などの健康に良い脂質の摂取、バランスの良い食生活は生活習慣病のリスクを減らし、腎臓の健康を守ります。
食事は毎日のルーティンです。何気ない間違った食生活の連続が、知らず知らずのうちに腎臓を傷めている可能性もあるのです。
前回の記事、「島耕作も言っている!腎臓健診!若いうちから!」でもお伝えした通り、そもそも腎臓は30~40歳代の中年期以降、加齢とともに機能が低下していくといいます。人生50年と言われた戦前ならまだしも、現在日本では人生100年時代と言われ、健康寿命をいかに伸ばせるかが大きな課題となっており、間違いなく腎臓もその一端を担う重要な臓器です。何もしなくても年を重ねるだけで衰えていく腎臓を出来るだけ長持ちさせるためには、若いうちから腎臓を傷めない食生活を意識する事が必要不可欠となります。
今回は分かりやすくお伝えするために、腎臓を守るために摂りすぎないよう気を付けるべき栄養素の情報を中心にまとめました。
腎臓の健康が気になる方は是非参考にしていただけると嬉しいです。
【※ご注意】今回の情報は病気でない方向けの情報であり、既に腎臓病になられている患者様はそれに適した食事療法や治療があります。おかかりの病院の医師や栄養士の指導に従いましょう。
♦腎臓を守るために摂りすぎないよう気を付けるべき栄養素♦
【塩分】
塩分の過剰摂取は高血圧を引き起こします。高血圧は腎臓に負担をかけ、腎機能を低下させます。
日本では健康な成人の塩分の摂取量に関しては、1日当たり男性7.5g、女性6.5g未満を目標にしていますが、現在の日本人の平均食塩摂取量は1日当たり約10gと摂り過ぎとなっていますので注意が必要です。
因みに世界保健機関(WHO)の一般成人向けのガイドラインでは1日当たり食塩 5 g未満の目標値が設定されており、現在世界全体の目標となっています。
また、日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン 2019」でも、高血圧者の減塩目標を1日当たり食塩6g未満としていますので、血圧が気になる方はより減塩する事を意識しても良いでしょう。
塩分を控える調理の工夫として
・減塩調味料を使う
・汁物の献立は少なくする
・ハムや練り物など塩分の濃い加工食品は避ける
・食材自体の旨味を生かす調理をする
・お酢や柑橘類など酸味のある食材を利用する
・だしなどを効かせ旨味を濃くする
・ハーブや香辛料を活用する
など色々ありますが、
重要なのは自身の毎日の食生活でどれくらいの塩分を摂取しているのかを知る事から始めることです。
市販されている食品のパッケージには栄養成分が必ず表示されています。面倒でも調味料なども含め計って使用し、出来るだけ多くの食事パターンの塩分摂取量を把握してみるのが良いと思いますが、先ずはどの食品にどのくらいの塩分が含まれているのかを知るだけでも減塩を心がけるきっかけになるでしょう。
また、併せて朝夕2回、家庭用血圧測定器で血圧を測り、食生活と照らし合わせてみるのも一つの指標となります。家庭で計る血圧が135/85 mmHg以上が高血圧と定義されていますが、なんと日本人の3人に1人が高血圧と言われています。高血圧が怖いのは慢性腎臓病と同様自覚症状に乏しく、病気なのが自分では分からず放置してしまう事が多く、例え健康診断などで指摘されても深刻に考えず治療しない方も多数いることです。
前回の記事「島耕作も言っている!腎臓健診!若いうちから!」でもお伝えした通り、腎機能と血圧は密接な関係にあり、血圧が上がるとそれに比例し腎臓は傷ついていき、腎機能は悪化の一途をたどり慢性腎臓病となってしまうのです。
高血圧は慢性腎臓病を引き起こすだけではありません。放置すると突然死を起こしかねない大変恐ろしい病気でもあるのです。高血圧が続くと血管に負担がかかり、動脈硬化は徐々に進行します。脳や心臓の動脈硬化が進むと脳血管障害( 脳出血や脳梗塞) 、虚血性心疾患( 狭心症や心筋梗塞) のリスクが上がり、命を落としたり、一生重い障害・後遺症を抱えて生きなければならない可能性もあるのです。
このように慢性腎臓病やその他重い病気になる要因となってしまう食塩の過剰摂取は日々の食事の中で避けるべく注意を払うべきですし、塩分摂取及び血圧に関しても先ずは具体的な数値を明らかにすることで食生活の改善点も見えてくるでしょう。
腎臓を守る!食生活②に続きます…