前回の「腎臓を守る!食生活①(食塩)」に続き、

腎臓のために摂り過ぎないよう気を付けるべき栄養素の情報をお伝えします。

 

【※ご注意】今回の情報は病気でない方向けの情報であり、既に腎臓病になられている患者様はそれに適した食事療法や治療があります。おかかりの病院の医師や栄養士の指導に従いましょう。

 

【糖質】

甘い菓子類清涼飲料水に加え、パンや米など主食の糖質を過剰に摂取すると、食後血糖値の急上昇を招き、膵臓に負担をかけ糖尿病になるだけでなく、高血糖により腎臓の血管を傷つけ腎機能が低下する原因にもなります。

 過剰な糖質摂取を毎日続ける事は、腎臓にじわじわとダメージを与え続けることになるのです。

糖尿病性腎症とは糖尿病が原因で起こる慢性腎臓病のことですが、現在日本では弱った腎臓の代わりに血液を綺麗にする治療である人工透析の導入に至る方の最大の原因糖尿病性腎症と言われているのです。

にもかかわらず糖尿病患者が減る気配もなく、日本ではなんと5~6人に1人糖尿病及びその予備軍と言われています。腎臓を守るためにも菓子類や清涼飲料水などの栄養の少ない砂糖たっぷりの嗜好品は食べ過ぎないよう心掛けることが大切です。

 

 食後血糖値の急上昇を防ぐ対策として、

・食物繊維が豊富な野菜・海藻・きのこ類を米やパンなどの糖質より先に食べる

・主食を精製した小麦粉のパン・うどん・白米など高GI値(高いほど血糖値が上昇しやすい)の食品から、玄米や雑穀米・蕎麦・全粒粉のパン・オートミールなど比較的低GI値の食品に置き換える

・糖質のみ多量に摂取することを避ける。適度な脂質やたんぱく質も一緒に摂取するように食事のバランスを考える。

・食事中に緑茶や無糖の紅茶などを摂取する(緑茶のカテキンや紅茶の紅茶ポリフェノールは食後の血糖値の上昇を緩やかにすると言われている)

 

など様々な工夫があります。ただ、糖質を含む栄養素の摂取は毎日がデスクワークの方と身体を動かす仕事の方では必要量が違うように、個人の活動量や体格、年齢に依存するところがあり、厚生労働省の報告でも糖尿病の発症・管理のための適正な栄養素摂取比率に関してはエビデンスが乏しいとしています。

 しかしひとつの指標として適正体重かどうかを把握し体重を管理することが肥満が原因ともなる2型糖尿病を防ぐことへと繋がります。

日本糖尿病学会によると体重の減少に伴って糖尿病発症のリスクは低減するといい、アメリカ糖尿病学会American Diabetes AssociationADA)も肥満の改善が糖尿病の予防と管理には最も重要だと明言しています。極端に痩せ過ぎ・太り過ぎでない適正体重を維持できる日々のエネルギー摂取を考えることが健康を保ち、糖尿病になるのを防ぐ鍵となるのです。

 適正体重かどうかは国際的にも肥満度を表す指標として用いられているBMI [体重(kg)]÷[身長(m)2]で判断できます。

日本肥満学会の定めた基準ではBMI 18.5以上25未満が「普通体重」、25以上「肥満」であるとしています。

厚生労働省によるとBMI 22最も病気になりにくい状態であるといい、逆にBMI 25を超えると様々な生活習慣病のリスクが2倍以上になるとしています。

日本糖尿病学会もBMIの増加と共に糖尿病のリスクは増加していくと警告していますので、肥満の方は腎臓を傷めない為にもとにかく痩せることが求められます。

 

 しかし、たとえ適正体重でも、アルコール飲料の摂り過ぎなど乱れた食生活では糖尿病になるケースもあります。日本人はもともと体質的にインスリン分泌の能力が低く、欧米人より糖尿病になるリスクが高いといいますので食事のバランスには注意が必要なのです。

 日本糖尿病学会による「糖尿病診療ガイドライン 2019 では、糖尿病の食事療法の目安として、エネルギー換算で、炭水化物を 5060たんぱく質 20%以下脂質 2030 を目安とし、脂質が 25%を超える場合は、魚油(DHAEPA)やオリーブ油、ごま油など身体に良いタイプの脂質を増やすなど工夫が必要としています。(※身体に良い脂質に関してはこちらの記事も参考にしてください)

 また、食物繊維摂取が1日当たり20g超えると糖尿病の発症リスクが低下していくとし、食物繊維1日当たり20 g以上摂ることを推奨しています。食物繊維は日本人は成人男女共に1日当たり約14g程度しか摂取できていないというデータがありますので、心当たりがある方は野菜やきのこ・海藻類など食物繊維豊富な食材をさらに積極的に食事に取り入れる必要があるでしょう。

 因みにアメリカ糖尿病学会の最新のガイドラインだともう少し糖質に厳しく、食事の半分をでんぷん質を含まない野菜類、1/4をたんぱく質、残り1/4を糖質とすることを推奨しています。アメリカ人と日本人では食生活を含むライフスタイルも遺伝的要因も違うため一概には言えませんが、血糖値が気になる人や減量が必要な方は参考にしても良いでしょう。いずれにしても日本、アメリカ共に野菜は不足なく摂取することを推奨しており、これには間違いありませんね。

 

 巷には糖尿病に良い食材はコレだ!みたいな情報もあふれていますが(糖尿病や高血圧に良い食材などの情報もまた別途紹介できればと思います)、それを取り入れるのは良いとして、結局バランスの良い食事が病気を防ぐためには必須という事になります。

糖尿病予防に野菜が良いというのは以前から言われてきました。確かに野菜に豊富に含まれるビタミンCなどのビタミン類やカロテノイドなどの抗酸化物質、マグネシウムなどのミネラル成分により糖尿病のリスクが低くなることが特に欧米の研究で多数報告されています。

しかし筋肉をつくるのに必要な魚や肉・大豆製品などのたんぱく質も重要で、不足すると内臓脂肪が増える原因ともなり、内臓脂肪が多いと例えBMIが正常範囲内でも糖尿病のリスクが上がってしまいます。

世間には「○○だけ食べるダイエット!」のような情報もありますが、いくら野菜など健康に良い食材でも、これしか食べない!みたいな偏った食生活は病気を予防する上でも避けるのが賢明でしょう。

 

腎臓を守る!食生活③に続きます…