「卵は1日1個まで」はもう古い考え方!

コレステロールを多く含む卵ですが気にせずもっと食べても良い、と耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

しかし一方で病院の検査でコレステロール値が高く出てしまい、医師から「卵は食べ過ぎないでください」と言われた方も多くいると思います。

一体どちらなんだという話ですが、結論から言うとどちらも正しい、という見解があります。

 世の中には「コレステロールゼロ」を謡う食品が数多くあり、一般的にコレステロールは「悪い」というイメージがある方もいると思います。

しかしコレステロールは細胞膜や体の働きを調整するホルモン、胆汁酸、ビタミンDをつくるための重要な栄養素の1つで、身体にとって必要不可欠なのです。そんな大事な成分だからこそ、コレステロールは身体の中で合成されており、その量は食事からの量と比べ3~7倍とも言われています。

 医学は日々進歩しており、昔は常識だったことが時には覆されることもあります。

体内のコレステロールは一定に保たれるよう肝臓が調節しており、食べ物からの摂取量が多い日は体内での合成量は少なくなり、逆に食べ物からの摂取量が少ない日は体内の合成量が増えるようになることが分かってきました。

そのため、食事によるコレステロールの摂取量は血中コレステロールに直接影響しないとして、2015年以降、厚生労働省はコレステロールの摂取制限を設けない事としました。

必須アミノ酸のバランスが非常に良く「完全栄養食」と言われる良質なたんぱく源である卵は、コレステロールを気にせずに1日1個ではなく、個人の体格や活動量にもよりますが23個食べても良いという考え方も徐々に普及してきており、それを推奨する医師もいます。

 しかし考えなくてはいけないのが、血中LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が高いままだと、ほとんど自覚症状が無いまま動脈硬化となり、心筋梗塞や脳梗塞という突然死のリスクもある恐ろしい病気を引きおこしてしまうという事実です。

人間の身体はとても複雑で個体差があり、食事からのコレステロールの影響を強く受けてしまう方も一定数いるという臨床試験のデータも存在します。食事で多くコレステロールを摂取すると、血中コレステロールが高くなってしまう体質の方はコレステロールの摂取量を控えることを考えなくてはならないと言えるでしょう。

また、糖尿病、慢性腎不全などの腎疾患、肝硬変などの肝疾患などの病気によって高コレステロール血症が引き起こされる場合もあります。さらに血圧が高いと血管壁が傷つきやすく、高コレステロール血症と高血圧が合併していると動脈硬化が進行しやすくなると言われています。

 日本人の食事摂取基準(2020年版)では、高コレステロール血症を含む脂質異常症の重症化予防を目的として、コレステロールを200㎎/日未満に留めることが望ましいとされています。

卵1個に約250mgものコレステロールが含有されています。検査でコレステロールが高く出た方は、1日卵1個でもコレステロールの摂りすぎとなってしまいます。

 卵は1日1個はもう古い考え方!2,3個でもOK!が当てはまるのは、結局、遺伝的要因を含めた体質や健康に問題が無い方に限定されるという結論となります。

脂質異常症(高コレステロール血症含む)と診断された方、高血圧や糖尿病、腎・肝疾患などの病気がある方は、コレステロールには注意する必要があり、医師から「卵は控えるように」と言われれば指示に従うのが賢明と言えるでしょう。

 高コレステロール血症を予防・改善する栄養療法については別途お伝えしたいと思います!