皆さんモデルやハリウッド女優達が好んで食べている食事と言えば、なんとなく想像つきますよね?

オーガニック野菜のスムージーやチアシードなどのスーパーフードを好み、砂糖たっぷりのお菓子やジャンクフードは食べない等…ファッション誌含むメディアでは彼女たちの素晴らしく健康的な食生活が度々紹介されています。

 ヘンリー王子の妻・メーガン妃の大好物は全粒粉のパンにアボカドをのせたアボカドトースト。女優のケイト・ベッキンセイルはアルコールなどの刺激物は避け、サーモンや芽キャベツを食事に取り入れているそう。長年トップモデルとして活躍しているジゼル・ブンチェンは新鮮な野菜や脂肪分の少ない肉を適量摂取し、精製した砂糖や小麦粉を避け、玄米、キヌア、キビ、豆類といった全粒穀物を食べているとか。

 マスメディアでは彼女たちのスタイルの良さを賛美し、どのようにしたらその美貌をキープ出来るのか、秘訣を伝えるべく食生活を度々特集しています。

海外セレブ達の食事は美容やダイエット目的として紹介されることが多いのですが、実は悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし、血管を綺麗に保つための食生活のヒントにあふれています。

 悪玉コレステロールや中性脂肪が高いことを脂質異常症と言いますが、日本の国民健康・栄養調査によると30代からの男性、及び50代からの女性の、なんと約2人に1人が脂質異常症であると推定されています。

脂質異常症の怖いところは、ほとんど自覚症状が無く動脈硬化を進行させ、突然死のリスクもある心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしてしまうところです。この事実を考えると脂質異常症を予防・改善する食事は多くの方が取り入れた方が良いと言えます。

 話を戻すと、ハリウッド女優やモデル達が実践する食生活は脂質異常症になるのを予防し、米国心臓協会(AHA)が血管の健康のため推奨する食生活とも被る部分が数多くあるのです。

彼女たちは正に「美は健康から」を体現していると言えます。是非今後マスメディアなどで彼女たちの食生活の情報を参考にする時は、美容だけでなく健康目線で見てみてください。

 脂質異常症を予防・改善する栄養療法ですが、米国・日本共に推奨する内容は基本的にはほぼ同じ考え方です。ただ日本と米国だと入手出来る食品にも違いがあるので、今回は日本人に合う栄養療法を紹介すべく、最新の管理栄養士国家試験ガイドラインにも準拠した情報を分かりやすくお伝えしようと思います。

 脂質異常症を予防し血管を綺麗にする食生活のポイントですが、「積極的に摂るべき食品」「避けた方が良い食品」に分けられます。また、余分なコレステロールを回収し動脈硬化になるのを防いでくれるHDL(善玉コレステロール)は増やす・または減らさないようにし、LDL(悪玉コレステロール)や中性脂肪を減らす食生活が理想と言えます。

 

「積極的に摂るべき食品」

◎ごま油 オリーブ油 エゴマ油 亜麻仁油 ココナッツオイル アボカド(オイル)

これらの油はHDL(善玉コレステロール)の低下を起こさずに、LDL(悪玉コレステロール)を低下させます。

 

 ◎マグロ・サバ・イワシ・アジなどの青魚 サーモン

いわゆるオメガ3系脂肪酸(DHA/EPA)を含む魚ですが、HDL(善玉コレステロール)を低下させずにLDL(悪玉コレステロール)と中性脂肪を減らす効果があります。血圧を下げたり、血液をサラサラにし動脈硬化を防ぐ効果もあります。

 

 ◎豆腐・納豆・豆乳・大豆水煮などの大豆製品

大豆たんぱくにはLDL(悪玉コレステロール)を減らす働きがあり、大豆イソフラボンにはLDL(悪玉コレステロール)や中性脂肪を減らす働きがあります。

 

◎クルミ・アーモンドなどのナッツ類

血中のLDL(悪玉コレステロール)を低下させ、善玉と悪玉のコレステロールのバランスを良くすると言われています。ただカロリーの高い食品なので1日25gまでの適量摂取に留めましょう。

 

◎食物繊維の補給

ごぼう・たけのこなどの繊維質が多い野菜類

シイタケ・しめじ・えのきだけなどのきのこ類

わかめ・昆布・ひじきなどの海藻類

サツマイモなどのイモ類

食物繊維は食後の脂質の吸収を抑制し、LDL(悪玉コレステロール)の体からの排出を促進します。また、糖質の吸収もおだやかにし、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなった状態)も改善します。

 

◎玄米・胚芽米・麦ごはん・全粒粉パン・ライ麦パン・オートミールなどの穀物類

未精製の穀物類にも食物繊維が多く含まれ、LDL(悪玉コレステロール)の体内からの排出を促進します。

 

◎ビタミンCEB6B12・βカロテン・葉酸・ポリフェノール等の摂取

緑黄色野菜や果物など

様々な野菜や果物に含まれる各種ビタミンやポリフェノールなどの抗酸化物質はLDL(悪玉コレステロール)の酸化を防いで血管を綺麗にし、動脈硬化になるのを防ぎます。ただ、果物には糖質が多いものもあるので食べ過ぎないよう注意が必要です。

 

「避けた方が良い食品」

✖鶏・豚・牛などの肉類の脂身

肉類の脂身には飽和脂肪酸が多く含まれます。飽和脂肪酸は過剰摂取でLDL(悪玉コレステロール)や中性脂肪を増やす原因となります。

 

✖バター・生クリーム・クリームチーズなどの乳製品

乳製品にも飽和脂肪酸が多く含まれます。摂りすぎないよう注意が必要です。

 

マーガリン・ショートニング・ファットスプレットなどのトランス脂肪酸

トランス脂肪酸はLDL(悪玉コレステロール)を増加させ、HDL(善玉コレステロール)を減らすだけでなく、飽和脂肪酸よりも動脈硬化のリスクを増大させると言われています。米食品医薬品局(FDA)はトランス脂肪酸は心臓疾患のリスクを高めると警告しており、米国では2018年以降は食品への添加を原則認めていません。

 

✖清涼飲料水・菓子類・白砂糖

砂糖、ジュース、洋菓子・和菓子などで糖質を摂りすぎると、中性脂肪上昇の原因となります。

 

✖ビールなどのアルコール飲料

アルコールは、肝臓内での中性脂肪の合成を増加させます。過剰な飲酒は高血圧になるリスクを高め、動脈硬化を引き起こし、脳卒中や心臓病になるリスクを高めます。

 

✖鶏卵・魚卵・肉や魚の内臓などコレステロール含有量が多い食品

脂質異常症の方はコレステロール含有量が200mg以上の食品は避けた方が良いとされています。卵1個には約250mgのコレステロールが含まれていますので、毎日食べるのは避けた方が良いでしょう。いくらやたらこ等の魚卵、肉や魚のレバーにもコレステロールが多く含まれます。ただ卵も含め栄養価が高い食品ですので、脂質異常症でない方は適量摂取する分には問題ありません。

詳しくは「卵は1日1個まで」は結局正しいの?高コレステロール血症のリスクとは を参照ください。

 

上記の情報ですが、脂質異常症とすでに診断されている方は特に参考にしてください。

毎日完璧な食生活を実践するのはなかなか難しいと思われている方でも、先ずは健康的な食品を取り入れてみることが大事です。並行して肥満の方は適正体重になるまで減量する、適度な運動をする、喫煙習慣のある方なら禁煙をすることも脂質異常症の改善へと繋がります。

食事療法による効果は中性脂肪に対しては1週間程度と早い段階で現れ始めますが、LDL(悪玉コレステロール)や総コレステロールを減らすには2か月以上の食事制限の厳守が必要と言われており、本当に継続する力が大事です。

 冒頭で述べたセレブたちですが、その美貌ばかりもてはやされますが、長年健康的な食生活を実践する精神力こそ一番美しいように思います。

ストイックな食生活で知られる元サッカーのスーパースター、デイヴィッド・ベッカムの妻ヴィクトリアは4人の子供を出産した経験があるにも関わらず細身の体型を保ち続けていますが、体型維持のためなんと25年間同じものを食べ続けているとか。グリルした魚と蒸した野菜しか食べず、ステーキハウスに行っても蒸し野菜しか口にしないそう。彼女は自分を甘やかしたい時でも全粒粉のトーストなど質素な食べ物しか口にせず、ワインや様々な美食を愛する夫のデイヴィッドは一緒の食事を楽しむことが出来ず悲しい気持ちになることもあるんだとか。

 パーフェクトすぎるヴィクトリアよりも、激太りしダイエットを繰り返していた世界の歌姫マライア・キャリーみたいなセレブの方が人間味があり親近感も湧きますが、そんな彼女も近年では好物だったジャンクフードや甘いおやつをやめ、健康的な体型をキープしているとか。本来チョコレートや甘い菓子が大好きな彼女ですが、現在はチョコレート菓子などの甘いデザートは特別な時に一口だけしか食べないようにしているそうで、その努力は素晴らしいです。

ヴィクトリア・ベッカムまでストイックな食生活にするのは現実的でないように思いますが、その姿勢は是非見習いたいところがありますね。