薬剤師の平井です。

前回の投稿にではエナジードリンクやカフェイン等の危険性をお伝えしましたが、今回は「エナジードリンクに頼らず元気になるにはどういう栄養が必要か」をお伝えしていこうと思います。

(アメリカの最先端病院の研究でもエナジードリンクの危険性は注意喚起されています。前回の投稿も大事な内容なのでまだお読みになってない方は併せて読んでくださると嬉しいです。)

 

今年も受験シーズンの季節に入ってきましたが、それに伴い受験生に向けての「エナジードリンク」の宣伝も日本では過熱しています。「勉強時にピッタリ!」と受験生応援キャンペーンと称して至る所で宣伝されていますね。

 しかしながらエナジードリンクは睡眠障害、精神疾患、攻撃性を高めるなどの異常行動、頭痛、肥満に繋がるとして欧州の一部の国では未成年への販売は法律で禁止されており、近年この流れは世界中に広がっています。アメリカ小児科学会(AAP)もエナジードリンクは子供や青少年には適さないと警告しており、18歳までの子供は1日あたり100㎎を超えるカフェインを摂取せず、エナジードリンクを完全に避けることを推奨しているのです。

日本医師会も「エナジードリンクは成長期の子供には危険だ!」と発信しています。

「子供が飲みすぎると心臓や脳の障害で死亡することがある」と強い表現で呼び掛けているのにも関わらず、日本においてはエナジードリンクメーカーは「受験生のための商品!」と真反対のことをガンガン宣伝しているのはなんだかカオスな状況ですね、、

 

このように依存性中毒性もあり、危険性も叫ばれているエナジードリンクが大人から子供にまで幅広く支持されるのは、やはり圧倒的に「即効性」があるからです。ストレスや疲労感、睡眠不足の問題が一瞬でスカッと解決するなんて、夢のような製品ですからね。

さらに甘く美味しい味付けになるよう工夫されていて、ジュース感覚で子供でもごくごく飲めてしまいます。

 エナジードリンクが恐ろしいのは、この甘い味付けが腎障害を誘発する可能性も指摘されていることです。

エナジードリンクの多くには果糖ぶどう糖液糖(コーンシロップ)のようなコストが安い糖や、サトウキビやテンサイ由来の精製したショ糖が使用されています。このような糖は尿酸結石の形成に寄与し腎臓にダメージを与える可能性があると問題視する米国の腎臓内科医もいるのです。

 エナジードリンクに限ったことではありませんが、清涼飲料水にもこれらの糖は多く含まれています。過剰摂取は本当に身体に良くありません。

 では人工甘味料入りの無糖のエナジードリンクを飲めば安全!と思う人もいるかもしれません。しかし残念ながらアスパルテーム、スクラロース、サッカリンなどの人工甘味料もまた、尿中のシュウ酸濃度を高め腎障害の原因となるシュウ酸カルシウム結石の形成に寄与する可能性が指摘されているのです。

あまり神経質になる必要はないと思いますが、カロリーゼロだからと言って人工甘味料入りのダイエットソーダなどは水代わりに連日多飲する人も多いと聞きます。限度を超えた摂取はしないように注意した方が良いですね。

因みにステビアのような天然の砂糖代替品は腎臓に対して問題がないとされています。

 

このように身体に対して多方面から悪影響を与える可能性があるエナジードリンクで、前回の投稿でお伝えしましたが一時しのぎで「元気の前借り」をしても後から襲ってくる倦怠感などそのツケは自分に何倍にもなって跳ね返ってきます。人間の身体はそう単純ではないのです。

 「継続的に元気に!」を実現するには日々の食事を含めた健康的な生活習慣を心掛け、やはりビタミンなどの栄養素を不足させないことが一番で、身体の土台作りのケアを地道に行うしか方法はありません。

 なぜなら、精神と肉体の健康を維持させるために必要不可欠な身体の仕組みに各種ビタミンやアミノ酸などの栄養素が必須という科学的事実があるからです。

 

中でもビタミンB群は脳(精神)と肉体の健康に特に重要な役割を担っています。

 以前の「こころに関係する栄養素」のコラムでもお伝えしましたが、ストレスに対抗精神を安定させるための脳内の幸福ホルモン「セロトニン」を体内で作る時はビタミンB群などが必要となってきますし、

さらに「セロトニン」安眠ホルモン「メラトニン」に体内で変わるため、ビタミンB群は睡眠の質にも密接に関係していることになります。

 

また、ビタミンB群は記憶力や集中力とも深い関係があります。

例えばビタミンB1が不足すると、脳内の記憶の司令塔とも言われる海馬に存在している神経細胞が萎縮してしまい、記憶力の低下を招くことが知られています。

また、ビタミンB12、葉酸の低下が人の認知機能に悪影響をもたらすことが精神医学と神経学の研究を扱った医学誌Neuropsychiatric Disease and Treatmentにも紹介されています。

集中力や注意力の維持、意欲を高めるためにもビタミンB群は必須です。特にビタミンB6が集中力・注意力・意欲に関係している神経伝達物質GABAやセロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン)の合成を促進させるからです。

様々な脳活動、いわば脳の活性化にはビタミンB群が必須となっている事実があります。

このようにビタミンB群は脳機能に不可欠なので、仕事や勉強の質を高めたい場合は体内のビタミンB群を充実させることが一番の近道と言えるのです。

 

さらに肝腎なのが、肉体のタフさもビタミンB群無しでは実現しません

人間に活力を与え、生命を維持するための根本的なエネルギー産生にビタミンB群は必要という事実があるからです。

 人間は食べ物を体内に取り込んだ後に細胞内にある「ミトコンドリア」という器官でATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー物質を作り出しています。それを使って筋肉や神経を動かしたり、生きるための重要な肉体活動に利用しているのです。

このいわば人間のエネルギー生産工場である「ミトコンドリア」でエネルギーを作る時にビタミンB群が必須となるのです。

ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアの機能が低下して細胞の活動が低下してしまい、疲労や倦怠感を引き起こします。

 エネルギーがないと人間もパワフルに稼働しません。上記のように人間の生きるための「活力」の源にビタミンB群が重要という科学的事実を考えると、身体が疲れた時にビタミンB群を強化することがいかに重要かが分かりますよね。おのずと摂取する食べ物も考えますよね。

 

現代医療において科学的事実が明らかにされているものがあるならば、それに沿って必要な栄養を摂取する方が理にかなって賢明だと思いませんか。

 

上記のような身体の仕組みからストレスや疲労が多いと身体もそれに対抗しようとしてビタミンB群の必要量が増え、体内消費も激しいことが分かっており、それを裏付ける研究データも多数存在します。

 ビタミンB群は水溶性ビタミンで比較的安全に摂取でき、上記のように人の認知機能と身体に重要な役割を果たしていることから世界中でその人体への影響が深堀して研究されています。ビタミンB群が人間の身体に多大な健康効果をもたらす興味深い研究も非常に多く、また別の機会に是非ご紹介したいと思います。

 

この事実をお伝えすると、「エナジードリンクにもビタミンB群が入っているよ!」

と言われる方もいると思います。

ただ、薬剤師の観点から言うと「入っている」というだけで含有量が少なすぎる商品も多いですし、過度なカフェインや体にあまり良くない糖に頼らず純粋に日々の栄養の強化を考えた方が健康的だと思いませんか。

 

ここまでお伝えしておいてなんですが、カフェインは悪だ!エナジードリンクは一切ダメだ!と言いたいのではありません。成長期の子供に関しては心身ともにまだ未発達であるため摂取は制限した方が良いと思いますが、、

私が大きく問題だと思うのは、エナジードリンクがどういう製品かを理解しないでビタミンなども添加されていることもあることから逆に「飲めば飲むほど身体に良い影響がある」と勘違いしている人が多くいることです。さらに企業のマーケティングの効果で「エナジードリンクはカッコイイ!」というイメージが確立しておりそのデメリットを理解せずに安易に乱用する人が後を絶たず、世界中で過剰摂取による健康被害が報告されているのです。

 

気分転換に1日で摂取できる範囲内でカフェインを摂りたいのであれば、緑茶コーヒーを飲む方がはるかに有意義だと思います。緑茶やコーヒーにはポリフェノールの一種であるカテキンクロロゲン酸のような健康物質も含まれ、その抗酸化作用から生活習慣病予防抗ウィルス作用抗がん作用など各種健康効果があることが分かっているからです。

 

また疲れた時の糖分補給の関しても、前回お伝えしたメイヨ―クリニックの栄養士は飲料に入れる糖はブラウンシュガーを、またはリンゴやベリーなどの果物の摂取を推奨しています。

 

しかし仕事中など果物の摂取は現実的でない場合もありますね。アメリカではエナジードリンクの健康被害が問題視されていることから、健康に害が少ない次世代のエナジードリンクも近年人気を集めています。人工保存料やフレーバー、アスパルテームや高果糖コーンシロップのような身体に悪い成分を使用しておらず、ナトリウムも非常に低いレベルなのが特徴で身体にやさしいとされています。健康に配慮したエナジードリンク、日本でも今後より注目されていくかもしれませんね。

 今回は簡単にはなりましたが、メンタル(脳活動)と肉体の活力にビタミンB群がいかに重要か!をお伝えしました。

 

今回もメンタルの健康について一部触れましたが、私自身こころと栄養には非常に関心があり、今後も有益と思われる情報はどんどん発信していきたいと思っています。なぜならこころの健康次第で人生が変わることを私自身が経験しているからです。

今でこそ私は自分で言うのもなんですが精神的に非常に良好な状態で、周りからもその安定感には感心されるほどです。しかし表面的には明るく精神疾患と診断されていた訳ではなかったのですが、学生時代は人付き合いが苦手で不登校の時期もあり精神的に弱かったと思います。 

社会人になり社会の役に立つ仕事に就くために自分を変えたいと思い、カウンセリングを受けたり自分なりに試行錯誤しましたが、こころの健康には何が必要か深く学び栄養療法を実践したことが、間違いなくメンタル強化の一番の手助けになったと考えています。

精神科の領域でしばし言われることですが、こころを壊してしまうと社会復帰など、「普通の日常」に戻ることが最大の目標になってしまいます。

 今まさに世間では受験シーズンですが、私の当時のことを思い起こすと高校にすら休みがちで受験とかそれ以前の問題で苦戦していました。本当に日々の事をこなしていけるこころの健康って有難いのです。

 精神だけでなく、身体に関しても不調が起こると「以前の健康な状態」を取り戻すことを大きな目標として生きなければなりません。もちろん心身ともに病気の種類によっては完全には元には戻りませんし、不運にも防ぎようもなかった不調も中にはあります。

 しかしある種の不調でそれを防ぐことが出来る合理的な手立てがあるのなら、栄養関連も含め先ずはその手段を知り、先回りして実践していくことが自分の人生を守ることになると常々私は思うのです。

今後も先回りに役立つ有益な健康情報を発信したいと思います!